Boku_to_Kimi 世界一の日記

コンサルタント必見「ビジネス個性を大切に」をテーマに、現役コンサルタントたちが曝け出す苦悶の協奏曲

グッバイ経験値至上主義 第5話

グッバイシリーズは 直感的に良いと思ってきた哲学的な概念を 多少強引な論法で書き進めながら方法論まで落とし込んでいく、まるで平日の深夜にやる3000ピースのジグソーパズルのようなもので、とてもエネルギーを要する。少し時間が空いてしまったが 遠く北海道の地より 広大な大地のパワーを拝借して 続きに着手する。

 

前回までの要諦は「人材流動化・情報民主化・AI進歩、そういう時代にあって 今後コンサルタントを名乗る者は ビジネス個性の発揮がKeyになる。ビジネス個性を自覚し伸ばすためには、呼吸をするような自然の営みとして、いつも自分と相手と世間に対して、それ真実なの?あるいはそれ楽しいの?という否定の投げかけをしよう。特に自分への その仕事、やってて楽しいの?この投げかけは重要」

さて今回は 「好きなものにこだわれと言われてもコンサルの現場では現実的に難しいよね」という至極当たり前だけど、教科書や研修では教えてくれないことを考えていく。

 

まず 好きなことをやるためには、「嫌いなことを見つける」ことから始めるべきだ。いわゆる、戦略=「何をやらないか明確にすること」と同じ要領だ。いきなり好きなことを見つけるのは至難。なぜなら、仕事そのものは本来「嫌いなもの」であり、その中から「好きなもの」を見つけることは、大量のゴキブリの中から飼うとしたらこのゴキブリが一番ましかな というものを特定するに等しいからだ。その点、嫌いなものを自覚するのは比較的簡単だ。どれだけ金もらってもこれだけはやりたくない というものを見つければいい。ここは仕事だからと言って畏まらず 自分に素直になっていいところ。人との相性と同じで、生理的にダメ 本能的にダメ そういう感覚でいい。

 

さて、「これだけは嫌だ」という仕事あるいは作業を自覚したら 原則それはやらないと腹を決める。上司にも同僚にもそれを宣言すべきだ。その宣言を聞いても マネージャーとしてその仕事を振らざるを得ない場合も希にはあるだろうが、通常はそうではない。宣言者に嫌いな仕事を降るのは、来月退職を決めている奴にタスクを振るのと同じくらいリスキーだからだ。

 

とはいえ、「宣言」には勇気を伴う。「わたしは右ローキックは出せませんから」と宣言してリングに上がるキックボクサーと同じ。当然、右ローを補って余りある「必殺技」が必要になる。格闘家と同じで、コンサルタントが必殺技を身につけるのは一朝一夕にはいかない。ここで にわとりと卵の問題がでてくる。「必殺技を習得後に宣言をするか」 「宣言してから必殺技を習得していくか」。迷うことなかれ、後者だ。まず宣言しろ、それで不利な戦いの中で苦労しながら、自分にしかできない必殺技を習得するんだ。宣言した瞬間に、プロジェクトからリリースされるかもしれない。短期的には社内評価が下がるかもしれない。長い目でみれば、それは必ず通る意義深い苦行と考えればよい。宣言せずに 毎日遅くまで残業しながら合わない仕事をゾンビのように繰り返すくらいなら、いっそ宣言して 背水の陣で望む 高潔な騎士になる方を選ぶことを自信を持ってお勧めする。

 

さて5話続いたグッバイ経験値至上主義シリーズはここにて終了だ。今回の5話は、最近、伊豆の踊り子を読んだせいか、少し情緒的な表現や比喩が多くなったこと ペリー的には大いに笑えるが、最後の主張である「嫌い宣言メソッド」、みなさんにとっては 使えるものになっただろうか?いきなりやれと言われても難しいかもしれないが 心にとどめておくだけでも意味はあると思う。コモディティ化しつつあるコンサルサービス、その中でどう戦い選ばれていくか、生々しい話としては時給単価を上げていくか。クライアントに戦略を授ける前に自分自身の戦略を考えていこう。

グッバイ